前略

 

先日は私人として一線を引きつつも、真摯なる対応ありがとう御座いました

また先生に「寶」を手に取って直に拝見戴き、獅子の造形、印面の文字、そして1㎜の誤

差のない印寸法もご確認戴きました

また同席の重富学芸員にもご検分いただき、大阪まで足を運んだ甲斐がありました

さて席上で先生から投げかけられた一・二の疑問に対し、正式にお答えしておかねばとキ

ーを叩いております、

●印面四辺の額巾は、唐代印の様式は一般に狭く、唐代印譜と符合しないのではないか?!

とのご質問で、私はその場で即座に「地壇」の寸法ですとお答えいたしました

「地壇」は道教世界の地の神を祀る祭壇で、厳密には先生のご専門外であります。

私として、一点の疑問もないがしろに出来ず、別紙『道教辞典』の「地壇」資料で得心い

ただければあり難いです

●今ひとつ「寶」を手にされて、先生は過去の長い経験則から陶磁器として“重い”との

感想を漏らされました

  そのお言葉の中には、陶磁器では無いのではないか?!との一瞬の疑問符があったかに、

感じられました

その場で長谷部樂爾先生の「印台と獅子と同時に焼いた」との見解を加え、私として補完

所存です

★陶磁器か否かは改定「寶」本の陶磁器の項で記してありますが、公的機関2ケ所、日本

を代表する陶磁器関係者、愛石会会長、その他で99、99%陶磁器と終えております

★私も伊藤館長と同じく約20年前、初めて「寶」を手にした時、ズシリと重い経験則外

の重量感に電撃が走ったのを今でも鮮烈な記憶として残っております

     また印台四面の壁面を這い天を引き裂くような雷神を秘めた鮮烈な嵌入は自然石では

皆無と言い切ってもよい様です

陶磁器からのめり込んだ太極宇宙です、獅子「白澤」の偉容とその嵌入の鮮烈さに約1

7年の歳月を費やしたので御座います

 

それでも陶磁器として学会関係者が科学的検証を求められるなら!

     印面一角、欠損部分を最小限切断し科学的検証も辞しません

(欠損箇所は樹皮、または金補修する)

     また印面地肌部分を超高感度カメラ、または電子顕微鏡で捕らえるなら、その微粒子は

今日の陶磁器の常識を超えた超均一かつ超微粒子が予測されます

(自然石でき粒子に不純物またバラツキが予測されます)

     また科学的知識は私には全くありませんが、印台に電磁波(電波)を通すなら、その波

形は他の陶磁器より超一定の波形が予測されます

 

(李肇が『国史補』で天下に貴賎なく用いたと云い、陸羽が「雪のように白い」と云い、

そして段安節が『楽府雑録』で「金属のように高い音を奏で、楽器にも使用された」と何

故謳ったか?!何故それ程まで大量に白磁が焼かれ、何故、限りない白磁と、硬い胎質を

追求したか?!それはまさに神噐「寶」焼成の為であります!!!!!!

 

     今ひとつ私が館長に長谷部楽爾先生の世界陶磁全集の一文を提示して唐白磁の窯

場の謎についてご説明した所、それは古い文献で近年、既に「邢洲窯」で決着してい

るかの様なお話でありました

邢洲窯から唐白磁が出土している訳ですから白磁の窯の一つであることは間違いないでし

ょう

しかしながら邢洲窯は河北省であります

この神噐「寶」の焼成窯では絶対にありえません

何故なら邢洲窯は、洛陽からは河北、東北の方位であります

神噐誕生の天の道理に完全に外れ、完璧に符合いたしません

新旧「寶」本で「寶」の完璧の道理を解明して参りました

館長から指摘された印の額縁巾も添付資料「地壇」に合致致します

即ち研究者の質問に私が答えられない疑問点が発生するとしたら、それは私の解明不足、

不明であり、それはまた質問者の不明であります

この神噐・太極「寶」は中国道教の天の道理に完璧に合致した神噐「寶」であります

唐白磁の窯場の謎も天の道理に当然合致していなくてはなりません

その窯址の問題点に関し長谷部先生の著書『東洋陶磁史研究』(平成18年11月20日発

行)の「唐代陶磁史素描」の「二」白磁の末節を、先生のお手を煩わさぬ様に、同封致し

ておきます。

コピー資料末尾にあります通り、長谷部先生は「華南地域の唐代白磁窯の有無は重要な課

とあります

その他唐代白磁とその窯址に関する近年の研究書に、急ぎ荒っぽく目を通しましたが、未

だ究明途上、全体的に不透明の印象です

以上館長との応答の中で私自身が気がかりになった二点に付いて述べさせていただきまし

た、

 

還暦を過ぎながらも、己を知らぬ天下の不埒者で御座います

それでも、私事ではありますが過去20年間の平均睡眠時間は3時間40分前後で、私は

現在124歳と自認しております

そして身の程も知らず、太極軌跡の韻文を考案した大宗師、司馬承禎の名を拝命する、平

成の不届き者で御座います

中国4000年の至宝、神噐太極「寶」の扉を開くまで、天に傲慢を断わって、天空の果

てまで突き進む所存で御座います

そのような訳で、諸事万端、傲慢なる振る舞いと所業、お許し願います

 

館長が手にされた獅子印「寶」は間違いなく1300年前、玄宗皇帝が手に取って検分し、

唐朝の宗廟「玄元皇帝廟」に安置された神噐、太極「寶」で御座います

この神噐・太極「寶」は世界に鳴り響いた中華帝国が、総力を挙げ焼成した一大国家プロ

ジェクトであります

縦割り学問、生半可な知識では到底観えぬ、世界三大文明の至宝であります

焼成自体、奇跡を期待するしか術の無い「寶」でありますが、この印面に刻された九文字

は、キリスト文明イスラム文明では“太極”することの不可能な“漢大宇宙”であります

まさに世界ナンバーワンの「寶」と言い切っても過言ではありません!!!

日本で確認発表されることは、後世、文化的にも政治的にも計り知れない国益をもたらす

ことは必定であります

いずれ文化庁はじめ各方面から館長に何らかの確認が求められる筈です

どのようなかたちでも、御援護賜ればあり難いです

この世界遺産とも云うべき「寶」の落ち着き先関し、館長に道をお示し願えればと思って

おります

同席の重富学芸員にも諸問題、宜しくお伝え願えればあり難いです

取り急ぎにて、思案が纏まっておりませんが、まずは御礼まで。

草々

平成20922



 

添付書類・・「地壇」について

 

印面四方7cmはご確認戴きました

7×4÷3、11(唐代度量衡)=9寸、天下国土は永遠の数位です

「寶」本でも解説してありますが「一」「五」「九」「六」は易の最重要数位であります

「一」   は天地の始まりの数であり、絶対者、天子・皇帝の数位であります

「五」は五行思想で「木火土金水」は陶磁器焼成の五材で、『大漢和』「陶治」は「民を和

する事」、また中国皇帝の象徴の「龍」は五爪であり、皇帝象徴の数位です

「九」は永遠、易数位の陽極の数位です

「六」は偶数、陰極で、「地」の数位、道教では「玄牝の門」「衆妙の門」で、万物始生の

処であります

地の神を祀る祭壇には「六」数位は絶対であります

印の獅子「白澤」は神獣で白、「天」印台四面は「人」印面は天下国土「地」であります

 

印面の外枠は正確な1センチです

したがって太極の韻文「九文字」を地の神に奉納する祭壇の一辺は5cmで

唐代度量衡で割ると「一」・「六」の数位が現れます

『道教辞典』「地壇」の数位に「十丈六尺」(1・6)です

それ以上この印面寸法にどのような法理法則が秘められてあるか、果てしない道教宇宙で

あります

いずれにしても、この神噐太極「寶」は、獅子の造形の類似を集め時代を推定したり

唐代印譜様式と比較し、時代を照合しようとしても、それはナンセンスな試みです

一般の重要美術品の時代性を推考する常識的手法では、「寶」は永遠に観えません!!

茅山派11代宗師、潘師正より、陶隠居正一の法を伝授され、“天隠”の秘術で「寶」に秘

め隠した偉大な大宗師司馬承禎の術中に嵌るだけで御座います

「寶」は完全無欠、完璧の“極一”の神噐であります

 

平成20年9月22日


     長谷部先生「東洋陶磁史研究」白磁資料コピー