六章(一)『方位と太極』


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印面の上方「太上」の「太」文字方角は真「北」で、道教の神、天帝が住む、北極星の

位置する方位です。

上記、図(1)写真(2)をご覧ください。

獅子は体正面に向けず、正確に四分の一だけ首を振り、文字方向に顔を向けて鎮座して

います。

実は私にとってこれが大問題でした。

神噐・太極「寶」は皇帝の無比の印ですから、二つ、つまり“一対”である筈が無いの

です。

皇帝=神器=絶対の「一」です

太極もまた「一」です

我々が神社などで見かける、獅子及び狛犬などは一対です。

うっかりして、一対と考えると、神器が二つとなり、皇帝を現す「一」「五」「九」の唯

一絶対が崩れます。

その疑惑に答えたのは“君子南面” “臣下は北面”の諺です。

天の子である天子は宇宙の唯一の神、北極神の子で、北を背に鎮座します。

神の使い、獅子は二頭ではありません。

重ねて神噐「寶」は絶対の「一」です。

獅子の体の向いている方角は、玄宗皇帝が政務を執る長安の方角を向いています。

神噐「寶」の納められた神殿は、長安の真東、宗廟の地、洛陽です。

体の向きは玄宗皇帝守護、西向きです

しかし獅子の顔の向きは北から真南を凝視しています

君子南面、臣下は北を仰ぎ見る、北面です。

 

古来の礼法に「左祖右社」の言葉があります。

つまり印文に向かって右「洛陽」が、玄元皇帝廟の位置です。

長安は玄宗皇帝政務の居城、洛陽は唐祖の地です。

洛陽は長安の東の方角です。獅子の体の方角に、ピッタリと合致するのです。

重ねて獅子は神の守護神であり天子と同格で、当然南面です。

神噐「寶」の安置場所、神殿は、「長安」真東の方向、洛陽です。

「寶」は絶対の極一、太極です

「寶」は完璧なるがゆえに、全ての天の道理に合致するのです

驚きを超え、沈黙するしかありません

平成1937