第五章(三)『印中の神々』

ここは一般の読者は素通り戴いても宜しいかと存じます

この印の中にこのような道教の神々が天隠されていると漠然と眺めてください

本書として一応整理し、掲載致しておきます

印面と印字には次のような道教及び天の道理が秘められているのです

 

1.漢字の「漢」は『大漢和辞典』に天の川とあります。

2.即ち、印面は漢字で印された漢宇宙です。

3.印字は「日界」「月界」その宇宙の中心で“教勅”する「太上老君」を示しております。

4.「日」と「月」と中央の五文字で「陰陽五行」思想の中国古代の宇宙観を秘める。

5.日と月を囲んだ□の象形は、○の象形を表したもので、中央に天隠した道教の神、北

極星の道標です。

6.即ち、「日」「星」「月」の三光が配当されるのです。

7.「界」の文字は上下「田」と「介」に分けられ共に皇帝の印であることを秘めていま

す。即ち、日界・月界の「界」字下部の「介」の部分は篆刻で折り曲げて彫ってあります

これは「九畳篆」と呼ぶ篆刻の技法で「龍」の姿を象形したもので、龍は「皇帝」の象徴

です。また「田」の画数は五画で皇帝の数位であり、伝説の農耕神、「神農」と「農耕の民」

を天に戴いていることを示します。「民」を天に戴くことは善政を敷く「有徳の皇帝」であ

ることを示し、さらに「田」は『大漢和』に「蒼龍の宿」とあり、皇帝を象徴したもので

す。即ち、印面の四方に皇帝を表す四龍を配し中央に「龍王」を秘め五龍が配当されてい

ることを暗示しています。

8.「田」の文字は蒼龍の宿で「星」を現し、「日」と「月」を囲んだ「□」も○・星を表

します。

9.中央五文字「太」は最上「上」も天子の意味「老」も神「君」も天子「勅」も天子の

命で、全て神または天子で最高の位の文字が配当されています。即ち全て唯一絶対の尊位

で皆「一」星を現します。

   この最高の位を秘める中央五文字・五星と日と月を囲む□・□の2星を合わせ印面

は日月と、北斗七星が星座いたしています。

10.       韻文には道教および古代の「神話」・「伝説」が秘められています。

11.       印字中央の「老」の文字は漢宇宙の中心に星座し、「老君」「李耳」「現人神」「聖

帝」「真人」「仙人」「天神」「天皇大帝」「太上老君」と、日に九回も変幻自在に姿を卦える

神字で、「陰極」の六画です。

12.       日界・月界は陰陽で、易の「乾」「坤」を秘めます。

13.       印字の「三行体」は三陽・三清・三界・三元・三才、その他道教思想の大脈を秘

めます。

14.       印面「四角形」は四極大帝を拝し、東南西北・春夏秋冬・四大・四象四柱・四生、

その他道教の大脈を秘めます。

15.       印字中央「五文字」は五行・五大・五方・五帝座を秘め道教思想の大脈を秘め、

特に五帝座は太微垣中の星座、獅子座のβ星附近の五星を指します。

16.       印台の「正方体」の上下及び側面を合わせた「6面」は、東南西北上下(天地)・

六合・六天・六通・その他道教の大脈を秘める。

17.       「日」と「月」と中央「五文字」の合計、七星は七曜・七神、その他道教の大脈

を秘めます。

18.       印台の正方体の「八角」は八卦・八極・八神・八門、その他道教の大脈を秘めま

す。

19.       印字全「九文字」は九大・九天・九仙・九皇・九気・九星、その他道教の大脈を

秘めます。

 上記以外、文言教・語句・字画数・篆刻・紐獅子・印台・焼き物の色その他全てに、道

教の「漢数術」・「易」の64卦・中国古代の宇宙原理「太極」・「神仙思想」・「天子の思想」

など森羅万象全てが秘められてあるのです。

 

 重複いたす所もありますが、さらに次のような神々が秘められているのです。

1.元始天尊(北極星・宇宙の最高神)  印字中央、最深部に隠秘。

2.玉清天尊・上清天尊・大清天尊(三清) 印文三行体に隠秘。

3.太上老君(道教開祖・老子)     印文中央に現し、「紐」白磁の白色に秘める。

4.西王母・東王父(男神・女神の二神) 月と日の陰陽に秘める。

5.白澤(伝説の言葉を話す獅子王)   紐の白獅子で現す。

6.黄帝(道教聖帝)          印面の黄色・伝説の白澤に秘す。

7.昊天金闕至尊玉皇太帝(天道を主催する神)

8.中天紫微北極太皇太帝(太陽や四季を統括する神)

9.勾陳上宮南極天皇上帝(星を統括し戦争を司る神)

10.       承天郊法后土皇地祇(大地山川や万物を生育する神)

       7・8・9・10は印文、及び印台側面の壁画に秘める。

11.東方の神(青龍)

12.南方の神(朱雀)      11121314は印面四方の方位に秘める。

13.西方の神(白虎)

14.北方の神(玄武)

15.大明の神(太陽の神)

16.夜明けの神(月の神)    1516は日と月に現す。

17.龍神(帝神)獅子の造型及び「界」の文字、

篆刻九畳篆の技法に
現す。

18.歳星(木星)

19.鎮星(土星)        1819202122は中央「太上老君勅」のご文字

20.太白星(金星)       及び焼き物の五材そのものに秘める。界の文字の田

21.辰星(水星)        の五画、「五」皇帝の数位に秘める。

22.熒惑星(火星)

23.雷公(雷の神)       232425は印台側面の窯変の紋様雲と、雷を

24.雨師(雨の神)       現した嵌入に秘める。

25.風伯(風の神)

26.炎帝(農神)

27.伏羲(易の聖王)      27.印文の画数の配当に秘める。

28.蒼頡(文字神)       28.印文の文字に秘める。

29.麒麟(聖獣)         29.麒麟は五色を放つといわれ中央五文字に秘める。

30.天禄(霊獣)2930その他中国伝説、瑞祥の聖獣は

「老」の文字その篆刻の象形絵画に秘める

上記以外、例えば印文の中央内側「上」「老」「君」の三文字の合計画数は16画となる。

そこは道教の言う「太一」にあたる所で、「太一」には古来16神の神々が居ると伝えられ

る。

 その他、我々の窺うことの出来ない道教の八百万の神々が印籠されてあるのです。

 また当然秘められた神々の中央・中心・中天に、この「寶」制作の勅令を発令した玄宗

皇帝が遥かな幽玄の大宇宙に天隠されてあるのです。

まさに壮大な道教曼荼羅絵画です。

                                                  平成19313