第二章(一)『道教』

 

それでは「寶」の秘密に本格的に入る前に「道教」と道教の重要人物「太上老君」

「黄帝」「荘子」をご説明しておきます

そして厄介な「易」についても一応、さわりだけ解説したいと思います

以下の道教の解説は改定前の「寶」本のほぼ原文を掲載したものです

硬い内容と文章ですが、疲労困憊の承禎です            

自作の盗作です                                                      

あしからず!                              

  

 太古に文明が発生した頃より、黄土高原から注ぐ黄河流域に広がる広大な土地で、中国

人は生計をたてていました。農耕の民にとって、自然の猛威・天変地異・病気・その他の

不幸不運は、神々への不敬の証しと考え、その対象となる「雨」「風」「雷」「山」「河」

等の自然の神、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の人体に宿る神、吉凶を示す星々の神、

その他様々な神々を人々の祈りと共に誕生させました。

 そして幾千年にわたる治乱興亡の歴史、過酷ではかない運命の中で、自然発生的に現世

利益や、また不老長生などを願い祈ってきました。

 この風土と歴史の源泉から、自然崇拝・神仙説・陰陽五行思想が合流し、道教の原形が

醸成されてきたものと考えられます。そして春秋戦国期を経て隋唐五代の頃、儒家の祭礼

や仏教・道家思想などが重層複合し、教祖を伝説の聖帝「黄帝」と戦国期の思想家「老子」

とし、道教はその宗教形態を大成しました。

 この教義の中心命題は「自然の道」であり、自然的な生き方・生きる上での、心の処し

方などを説くものです。この道教は唐代、皇帝が教祖「老子」と同じ「李」姓であった為、

国家宗教となり、著しく整備補完され、道教は黄金期を迎えます。

 以後、この中国文化の複合体とも言える道教は、時代の中で盛衰を繰り返しながらも、「思

想」「哲学」「歴史」「芸術」「科学」と、あらゆる分野に影響を与えながら、中国民衆の土

着の宗教として、今日に伝えられました。

 現在、信徒は世界で約三千万人と推定され、仏教・キリスト教などから見て、信徒は少

ないが、世界に活躍する華僑や華人に深く信奉され、その文化的影響は東南アジア全域に

及んでいます。

 この信徒の少なくなった原因のひとつとして、近代に本家「中国」での革命の嵐により、

破壊と圧迫をうけたことが大きく影を落としています。しかし、漢民族が抱く心の大黄河

とも言える道教は、再び今その活動を再開したようにみえます。

 今日、若者にも人気のある、「風水」「人相術」「易」等の占いは、道教の方術でした。

 又、医薬の術に、体のツボに施す「針灸」、薬草の「本草」、気の柔軟体操、「道引」と、

我々も道教の領域と知らずに接しているものが、数多くあります。さらにこの道教は、か

つて隋唐の遣使達により伝えられ、日本国の開闢期より思想・文化の地下水脈として、諸々

の影響を与えたのでした。

開元721年玄宗皇帝は、この奇跡の韻文を発明した唐代一の導師、司馬承禎に法籙を

うけ、史上初めて道主皇帝となりました

この神器・太極「寶」は、唐朝の宝器であると同時に中国道教の最高法印なのです


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