「寶」中間報告

まさに天印「寶」は、この章1で、最初に提起した印台寸法が明かす、唐代、盛唐の時代

を指し示すのです。

何故、この偉大な「寶」が後世の史書や唐代の歴史に記されなかったのか?それは、神

噐「寶」・完璧を永遠に祠ためです。

すべての道はローマに通ずる、天印「寶」は“世界の中華、花の都に通ずる”のです。

牡丹の花咲きほこる大唐の二京、長安・洛陽を舞台に、李白・杜甫が歌う中国文化の黄

金期です。時の皇帝は、あの「長恨歌」に歌われた「玄宗皇帝」です。書に顔真卿、絵画

に李思訓・王維・呉道子、陶磁器は唐三彩です。そして『新唐書』『唐国史補』などに載る

唐の「白磁」は、“端渓の硯”と共に“天下に貴賎なく”これを用いたと言われます。

あらゆる文化が花開き、陸路シルク・ロードから、そして波頭をこえた海路から、世界

の文化が集まる国際都市、大唐の都へ本書は今、明確にその方角へ舵を切るのです。

混沌宇宙その北天の夜空に光る巨星が、中国五千年、歴史の華、盛唐の時代を照らす。

この大唐の海図を広げ、まだ見ぬ中国、遥か1300年前に羅針を合わせ、さらに幾多の関

門を乗り越えつつ一路邁進です。

時に日本は唐代寺成り、大仏開眼供養が行われた奈良時代であります。

天印「寶」は、驚くべき“歴史のタイム・カプセル”なのです。