1章19・印文象形画数の卦爻


『大漢和』に、“象形文字”の「象」は形どる。

 「文」は現象『准南子天文訓』。「文言」は乾坤二卦の解釈。「文象」は「日」「月」「星」

「天文」とあります。

 また文字の「画数」は、古くは「畫數」と表記し「畫」は“謀計”とあります。そして

“表面上の物の形象”“易の卦爻組み立ての横段”の意味とあります。「數」は“方法”暦

法、筮法の意味です。

 また「数術」とは“陰陽家”“卜筮家の術”またその“書”を言います。

 即ち「寶」の印文その象形と画数は「漢」・天の川とその「極」・北極星の卦爻です。

 この『大漢和』に載る記述は印文の画数に秘めた「寶」の神秘解明の鍵を握る重要な記

述でありました。

 先に述べた第1章7項と11項は『道教辭典』(文献67)を調べる過程で、漢字と道教

の関係、そして文字の成り立ちに潜む「易」の深淵を“気”で感じ、「易」と「陰陽五行」

から日本の神事を照射された吉野博士の著書により確信が稲妻と化し一気に開かれた頃で

すが、まさにこの「畫數」の記述は印文に秘めた「畫」は“謀計”されたもの、即ち天隠

であり「易」の“組み立て横段の畫數”で「数術」し、“隠した”ことを示すものです。

 私は本書☆序章・神噐『寶』の冒頭を「始めに」の「始」の文字で☆序章の扉を開きま

した。この「始」の漢字は八画、地數・小陰の画數で、天地の「始」の漢字に陰を示す「女」

偏が当てられ「台」と合体し文字が成る。「六」数位は易で陰極の數で、天地未明の數です。

この陰の極「六」の文字、上部の蓋(なべぶた)が取り除かれた文字の下部は開脚の「八」

の字態です。八は易数位からは小陰とあります。

 台の文字は、女の「ム」閉じた陰が「口」・開いた状態で、画数「八」の文字の字態、開

脚を暗示し、道教でいう「玄牝之門」「衆妙之門」が開かれた状態で、それが画数八画の

「始」の文字の因と連想し、本書「寶」の☆序章・冒頭にこの漢字「始」を用いました。

 口は穴、入り口の意味があり、「ム」に一画を加えた文字「」は子の文字を逆さにして、

解釈は“子が生まれる”とある。また『大漢和』に台は「胎」に通じ胎は「はらむ」「身ご

もる」です。

 また台は星の名で「三台」を指し紫微星を守る三星とあります。

 「始」の漢字の文象と画数に星々が謀計されてあるように私には“見え”序章☆北斗七

星、紫微星の方位にあたる「はじめ」の(一)冒頭に戴いた。『大漢和』「始」は、物の生

ずるはじまり・嫁して婦となったはじめとあり。そして「初」は始也・「一」も物・数の始

也とある。

 まさに皇帝の始とした始皇帝に相応しき載冠の文字「始」である。

 宇宙の“始まり”は太極・混沌の宇宙からであります。

 このような素人の連想ゲームは論外としても、このような画数の視点から本格的に漢字

を照射した研究書に出会わなかった事は驚きでした。

 しかし、次の項20で述べるこの天文学的確率の「寶」九文字の画数に漢大宇宙を“謀

計”し「易」の深淵及び「道教宇宙」全てを、この印文の発明者は“天隠”したのです。

 この天隠する「數」の“方法”と“平面上の物の形象”その“形象”に潜む「易」の卦

爻、最大卦爻の畫數に、いずれ四象は8爻に八卦するであろう本書第4章5項で『中国人

の超歴史発想』文献24・王博士の著書により、とてつもない漢大宇宙の秘密を発見する

のです。

 それはこの『大漢和』に載る「畫數」(画数)に潜む「易」の深淵が私をとらえ「始」

の文字を見るような連想ゲームが絶えず無意識の底に渦巻いていたからです。

 この画數の秘密を喝破したことにより、登龍門への外門は、また一つ大きく開かれたの

です。恐らくこの奇跡の印文を発明した天才は「天文暦法」「陰陽家」「卜筮家」としては

勿論、天地一切の事象に精通した偉大な大宗師であったろう。