1章18・易と天印「寶」



古来「易」は聖人・帝王の道標であった。

 「天、神物を生じて聖人これに則り、天地変化して、聖人これに効ふ、天、象を垂れて

吉凶を見して聖人これに象り、河、図をだし洛、書をだして聖人これに則る」(上繋第七)

 「易」は陰陽の「道」、卦は陰陽の「物」、「爻」は陰陽の「動」、天印の「理」に「象」

あり、天印の「象」に「数」あり、その義えれば象数天印にあり、「理」に「気」あり「気」

に「数」あり、天印「鬼神」の「桁数」なり。

 天印「寶」の「数」は「気」の用なり。

 元始に「太極」ありて「両儀」生ず、両儀「四象八卦」を生じ「六十四卦」天印「寶」

と卦す。陰陽、日月、「乾」「坤」は、二卦に象し「天地」とする。天の数は、一・三・五・

七・九、地の数は、二・四・六・八・十・「天地の十数」なり。「一」は数始、「五」に備わ

り小衍し「十」を成し、大衍し「五十」と成す。

 五十不動、一を損じて用をなす。「一卦」「六爻」あり、陰極「六」・「陽極」「九」なり。

獅子白澤の腹は六枚、背は九枚の鱗なり、「天地の総和」五十五なり。天印の画數は“天地

の総和”なり。

 九文字、無限を象し中央五文字「五」は木火土金水の五行を象す。九文字、無限と印文・

三桁体で九・三を示すは「天」と「帝王」の象。「乾」・「乾為天」(飛龍天に有り、君子乾乾)

の象。中央「老」六画・陰極と中央「五文字」で「五・六」は万物始生の地。「坤」・「坤為地」

(黄裳元吉)の象。二象で天地始成の象。

 よって中央五文字に秘めた天子「皇帝」とで天・地・人を成す。

 この天印「寶」の全九文字は、中国文明の深淵「陰陽」「五行」・「易」の深淵“太極を秘

める。

 中華の皇帝は天の子「天子」、天地、絶対の「一」。

 その天子が“太上”に戴く「太極」の宇宙“道”は「易」と「陰陽五行」と化し、本書

の大河「天子・皇帝文化」の神髄を垂直に貫く。

 今日に伝わる中国文化、その地下水脈に、太極の宇宙その神秘を湛える。

 中国黄金文化の金字塔、天印「寶」は、「易」と「陰陽五行」この三大哲理の太上に輝く

“太極”の光である。

 荘子の「易は以て陰陽を道ふ」(天下篇)、繋辞伝「形よりして上なるものこれを道と謂ひ、

形よりして下なるもの、これを器と謂ふ」まさに太極の“道”を具現化した道の具、それ

が神噐「寶」です。

 「易」はあまりの難解さゆえ、今日もなを幽玄、未明の学術分野です。本書天印「寶」

の降臨により、いずれ現わすであろう中国文化の黄金期、この奇跡の印文を発明した謎の

天才宗師その神秘の「易」哲理が「寶」の印文“九文字”を通しさらに解き明かされんこ

とを願うものです。

 天印「寶」は中国5000年の巨大な“太極”の光である。

                               易経(文献28参照)