1章17・天印「寶」の「気」




 天印「寶」は幾千幾万の陶工集団の祈り、匠としての執念の“気”が陶化(注1)して

「噐」と化したものです。まさに“火の神”「陶聖」への祈り“神宿請願”の“気”が“噐”

と化したものです。

 「噐」は“気”の現象であり、“道の具現”です。

 火神の権化、獅子王「白澤」から発する“気”は観る者の“時”を止め、澄み切った

静寂と言葉に表せぬ畏敬の念を“生気”させる。

 “龍虎”(注2)合体、“帝王の相”を秘める、白澤の神秘の異相と“気”満つる勇姿は

“時”と“天地”の時空を駆け、百邪百鬼を一呑みにする真迫のエネルギー“気”を内臓

する。

 まさに、無限の時の彼方、“神命”を全うする“万全の気”が観ぜられる。

 獅子王アポロから発する“陶陶”(注3)は“聖の気”です。

 “気”は道教思想全体を流れる“大河”です。

 天印は目で見る器でなく、“気”で“観”る“噐”それが神噐「寶」です。



注釈 『大漢和』(文献1)より

  1.『陶化』善に導き教化すること。

  2.『龍虎』天子の気

  3.『陶陶』陽気の盛んなさま。

※尚、「噐」は器の俗字で古くは「■」に作るとある。

神噐「寶」を通常の器と分ける為、「噐」(15画)を全編に用いることとした。